イタリアのデロンギ製のマルチダイナミックヒーター(MDH15-BK)です。オイルヒーターの電気版になります。

部屋を暖めるための暖房装置にはストーブやファンヒーター、エアコンなどがありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。


・エアコン・ファンヒーター


日本では最も一般的な暖房装置です。ファンで温風を送って、部屋の空気を循環させて暖めます。そのため、基本的にファンの音の作動音がします。エアコンは高い位置に取り付けられることが多く、ファンを弱めると部屋の下の方は冷えてしまいます。エアコンの気流は温めた空気が下向きに送られて部屋の床面付近を温めています。エアコンもファンヒーターも乾燥した温風が出るため、床面付近は乾燥した気流となり、生活していて部屋が乾燥しているように感じます。
一方、暖房効率が高いため電気代は安くて済みます。


・ストーブ
遠赤外線ストーブなどもでていますが、ストーブは対象物に赤外線や遠赤外線を当てて暖めるというのが基本的な原理です。なので、ストーブが当たっている場所のみが暖かく感じます。空気は透過性が高いため、基本的には温まりません。ストーブが当たっている対象物が暖まることで、周辺の空気も温まりますが、空間を温めるための物ではありません。
なので、自分だけを温めるのであれば暖房効率は高いですが、部屋全体を温めることは不向きです。


・オイルヒーター

内部のオイルを暖めることで、ヒーター全体が温かくなり、周囲の空気を暖める暖房装置です。ヒーターによって暖められた空気は上昇気流となることで部屋に対流が起こり、部屋全体が温まります。
もちろん、ファンが無いため作動音はほぼありません。乾燥した空気が吹き付けることが無いため乾燥しにくいです。
しかし、気流を対流に任せるため、部屋全体が温かくなるまで時間がかかります。また、暖房効率はエアコンより悪く電気代もかかります。


オイルヒーターとデロンギマルチダイナミックヒーターの違い

オイルヒーターは内部のオイルを暖めて、そのオイルがヒーターの中で循環して周りの空気を暖めます(輻射熱)。このため、ヒーターとして暖まるのにも時間がかかるし、部屋が暑くて温度を下げたい場合にも暖められたオイルが冷めるまで熱を放散し続けるため、部屋の中の温度調節はどちらかというと苦手とする暖房器具でした。
デロンギのマルチダイナミックヒーターは、オイルを使わずに電熱モジュールが熱を放散する仕組みのため、モジュール自体が細かい温度調節ができる上に作動するモジュールの数も周囲の温度に応じて変化させることが可能であるため、従来の暖房器具では困難であった温度を一定に保つことができるようになっています。



使用レビュー


・動作音と安全性

動作音は一切しません。ストーブを付けているとチンッチンッと音がすることありますが、このヒーターは全く音がしません。ついているのかいないのかは表示を見ないとわからないぐらいです。表面は熱いというより、温かいが強めという感じです。長時間触ったままにしなければやけどをすることはないと思いますが、小さな子供がいる家庭では柵などを使って触らないようにした方が安全だと思います。


・温まり方

1500WのMDH15-BKを大きなガラス戸が外に面している約10畳の寝室で使用しています。電源を付けてから部屋が温まるまでは30分近くかかるので夜早いうちに電源を入れるか、急ぎの場合はエアコンで部屋を暖めた後に使用しています。エアコンを併用することで温まりにくいという弱点を補うことが可能になります。窓際に置くことで、上昇気流で空気の壁をつくり、窓からの冷気が入らないようになるので暖房効率が上がります。
乾燥に関しては、温度が上昇するためどうしても暖める前より湿度は下がります。加湿器を使用する必要はあります。しかし、温風が当たるエアコンと違い自分の周囲の空気が動くことがないため、自分から放散される湿気が取り払われることが無く、寝ているときの喉の乾燥はだいぶ抑えられます。

・乾燥

上にも書きましたが、乾燥尾に関してはオイルヒーターは空気が乾燥しにくいとよくいわれます。空気の湿度は温度を上げれば当然下がるため、暖房器具を使用すれば乾燥します。室温を15℃→25℃に上げた場合、ストーブでも、エアコンでも、オイルヒーターでも湿度という点では差が無いはずです。ガスストーブや薪ストーブは燃焼したら、水分も発生するので若干は湿度が下がりにくいかもしれませんが、微々たるものだと思います。
しかし、実際にオイルヒーターを使用して乾燥しにくいと言われる理由が分かりました。エアコンは25℃に上げようとした場合は25℃よりもかなり高い温度を送風して室温を上げています。このため、エアコンからの風の湿度はかなり低くなります。エアコンからの風が当たれば当然かなり乾燥します。しかし、オイルヒーターは周囲の空気を緩徐に温めるため、ストーブよりもさらに部屋の空気の対流がゆっくりであるためオイルヒーターの周囲が25℃より極端に高くなるわけではなく、これによって局所的な湿度の低下が無いため、乾燥を感じにくいのかと思いました。


・設定とリモコン

リモコンでの設定に関しては、正直難があります。
現在はwifi対応モデル(MDH15WIFI-BK)も出ているのですが、あえてwifi非対応のモデルを購入しました。
wifi対応モデルはApple Homekitを使用してコントロールするため、リモコンは付属しません。私はipadは持っていますが、常に自宅に置いているわけではなく、スマホはAndroidを使用しているのでアプリが対応していません。
wifi対応モデルではApple TV(第4世代)が付属していますがヒーターを設定するのにわざわざテレビの電源を入れるのもおかしな話ですし、寝ているときに電源を離れたところから切ったり入れたりするためだけにテレビをつけるのも非効率的なので、あえてwifi非対応のモデルを購入しました。
現在の実勢価格はほぼ変わらないのでiphoneユーザーであれば、より細かい設定が分かりやすいインターフェースで操作できるwifi対応モデルでもいいと思います。
設定は、非常に単純です。☀(太陽)モードと☽(月)モードと不在モード(設定5℃)を1時間ずつそれぞれの時間に対して24時間×1週間分設定します。
説明書では、昼間は温度が高い太陽モード、夜は低いモードとなっていますが、私は寒がりなので夜にも全力で暖めるため太陽モード(25℃設定)にしています。昼間は寝室にいないので不在モードにしています。私の住んでいる地域は昼間に5℃以下になることはまずないので実質電源OFF状態ですが、電源OFFではなく5℃から変更できない不在モードにしかできないというのはよくわからない仕様です(寒冷地では必要なことなのでしょうか?)。

・臭い

買ってから最初の1週間ぐらいは焦げ臭いにおい(トーストが焼けるような匂い)がしました。おそらく、製造時の機械油が焼けて出た匂いだと思います。1週間たったら臭わなくなったので、もし購入して臭くても、しばらく使い続けて様子みたらいいと思います。

・さいごに

このデロンギのマルチダイナミックヒーターは暖房器具としては高価な部類に入ります。しかし、無音でかつ無風の部屋全体が温かい感覚は他では得ることができない新しい感覚です。春に日向ぼっこをしている感じに近いです。単に暖めるための暖房というより、気持ちの良い空間を作る付加価値のある暖房器具で、贅沢品としては十分に価値があるものだと思います。