Goproシリーズはおそらく世界で一番有名なアクションカメラです。そのGoproが360度カメラを出すということで発売日に購入しました。使い勝手を含めてレビューしていきます。


Goproはアクションカメラと呼ばれるスポーツなどをする時に身につけて映像を記録するカメラを世界に広めたメーカーといえます。アクションカメラはコンパクトで衝撃に強く作られています。そんなアクションカメラで360度映像が記録できるGopro fusionが発売されました。360度映像とは、カメラの周囲の全球を記録した映像です。その映像は専用のソフトで再生すると、周囲を見回すことができます。さらに、そこから通常の平面映像を切り出すこともできるので、gopro fusionを置いて自分が動く映像を撮影すれば、後で自分を追尾するカメラワークの映像を作ることもできます。
自転車などの動きのある映像をひとりで撮るには役にたちそうな機能です。

内容物は、主にカメラ本体とハンドグリップです。このハンドグリップは良くできていて、伸縮することで自撮り棒のように使うことができます。しかも、ちょうどカメラの死角になるため撮影してもグリップが映り込まないようになっています。さらにグリップ部分が三脚になるので、自立させて撮影することができます。

本体には前後に球面カメラがついていて、それぞれに対してmicroSDカードを入れるようになっています。単純に2台の半球カメラが合体したようなものです。底面には脱着式のgoproジョイントがあります。goproのジョイントは、社外品も含めて様々なマウントが販売されているので、大変便利です。収納式の為、カメラを自立させることもできます。液晶モニタは設定を表示するだけの簡易的な白黒液晶です。全球映像なので何を撮っているかの映像は必要ないため簡易的なモニタのみになっているのだと思います。音も360度のサラウンドで録れているようです。

360度カメラは他メーカーからも数機種出ていましたが、最大5.2K画質で撮れるということで当時最も解像度が高かったカメラです。

本体は5mまでの防水機能があるので、シュノーケリングなどでの水中撮影は可能です。ただ、ダイビングで使用するにはハウジングが必要となりますが、特殊レンズにハウジングを被せることで映らないエリアが発生してしまい、360度映像として見たときに少し気になります。



実際に使ってみてのレビュー


カメラ本体について

カメラとしての性能は、アクションカメラとしては及第点というレベルでできあがっています。ただ、本体が熱を持ちやすいため、夏場の炎天下で使うことはオススメできません。バッテリーもちは、アクションカメラという特性上、撮りっぱなしというよりは、スポットで撮影するため大きな問題にはならないと思います。手ぶれ防止と水平検出は素晴らしく、自転車のハンドルに装着してもそれほど振動は気になりません。

360度カメラは半球状の魚眼レンズがついていますが、当然本体から突出した形状になります。カメラを立てて置いて、倒れる時はレンズが当たってしまいます。レンズが割れることはないと思いますが、数回使っただけでコーティングに傷がついていました。一般的なカメラと異なり、レンズを保護するフィルムなども販売されていないため、アクションカメラですが取り扱いには注意が必要です。

fusion studioについて



このカメラは半球状の映像をそれぞれのmicroSDに録画して、PCソフトで重ね合わせて全球画像を作成します。このために専用のfusion studioというソフトを使用します。2018年にV1.3が公開されそれが最終版となります。このソフトがかなりのクセモノでした。インストールフォルダーのパスにアルファベット以外があると起動しない(購入して1ヶ月くらいは原因不明で使用できず)、取り込み、合成に時間がかかります。
また、かなりのPCスペックを要求するようで、当時の最高スペックに近い第7世代i7CPU+32GBメモリでなんとか実用に耐えるレベルです。ただ、このスペックでもソフトが突然強制終了したりします。
そして次世代のgopro MAXの発売により、gopro fusionの製造終了したと共にfusion studioの更新も終了しました。つまり、gopro fusionは一世代限りの切り捨てモデルになりました。
というのも、gopro MAXでは1枚のSDカードに全球映像を記録するため、重ね合わせのこのfusion studio自体が不要となりました。正直、この点だけでもgopro MAXに買い換える価値はあると思います。
編集は、別の動画編集ソフトが必要となります。



360度映像

360度カメラ全般にいえることで、当然といえば当然ですが、自分自身が映り込みます。プライベートの撮影や、顔を出すYouTuberならいいのですが、顔を出さないで動画を公開したい場合はやや面倒になります。
また、平面映像の切り出しは便利で、5.2K映像からの切り出しになるため画質的にも十分です。最近では360度映像に対応した再生アプリも多数出ており、Windows10では標準搭載になっていますし、YouTubeでも対応しています。これとVRゴーグルがあれば、その場にいるような臨場感を得ることができます。
360度映像を編集するためには対応した編集ソフトが必要になります。単純な切り出しはfusion studioでも可能ですが、動画内での画角の変更や文字やエフェクトを入れたりなどは、別の編集ソフトが必要になります。私はPowerDirectorを使用していますが、正直、通常の平面映像を編集するよりかなり手間がかかります。そしてPowerDirectorでは5.2KCineForm 422は対応していないため、4Kまでを編集することになります。

ファイルサイズについて

360度映像は5.2K30fpsと解像度が大きく、ファイルサイズサイズが大きくなります。YouTubeにアップするのであれば、mp4形式で小さくすることができます。360度映像をほぼ非圧縮の形式で作成すると、HDDをかなりひっ迫する事になります。長時間撮影した映像であっても、必要な長さを切り取ってから360度映像にした方がよいとおもいます。合成した映像と元映像の両方を保管するとさらに容量を必要とします。



gopro fusionは新しいジャンルのカメラであったため、使用目的もはっきりさせずに未知のモノへの期待感で購入しました。カメラとしての完成度はイマイチいえます。後継機も出ているのであえて今はgopro fusionを購入することはないと思います。
そして、最近では360度映像をよく見かけるようになりました。後継機のgopro maxやその他の360度カメラの購入を検討しているのであれば、カメラだけでなく、編集にそれなりのスペックのPCを用意する必要もあるので、どういった映像が撮れて、自分がどういった映像を撮りたいのかということを明確にして買うべきカメラだと思います。